僕は現在リフォーム会社の営業として働いていますが、その前は白蟻消毒の会社で営業をしていました。内容としては毎日飛び込み営業です。
今回はその時の考え方や、トークの内容などを書いていきたいと思います。
これから営業の仕事を始めようと思っているかたなどにも読んでいただけると幸いです!
なぜ白蟻消毒会社の営業となったか
そもそも白蟻消毒の会社に入ったのは、決してこの仕事がしたくて入ったものではありませんでした。
何となく求人募集で営業、高収入というワードを見つけて応募したところ、面接の段階で白蟻消毒の営業という事を初めて明かされました。
ただしそこで聞いたのは、『今まで消毒をしたお客さんのメンテナンス』だから、過酷な営業の部類ではないという事。
営業というと飛び込み営業など大変そうなイメージがあったので、これなら僕でも出来るかもと安易な気持ちで入社しました。
入社して3日目には飛び込み営業のロープレ(上司にお客さん役になってもらって商談の練習をする事)をやっており、内心では『ん?、、あれ?、、』と思っていましたww
ただ、こっぴどく怒られたりなどはしなかった為、なんとなーく続けていました。
はじめはアポインターといって、とにかくお客さんの家にひたすら訪問し、世間話などから床下点検のアポイントを取るという内容の仕事をやっていました。
そしてアポが取れたらクローザー(実際に商談をし契約を取る人の事)に繋ぎ、契約になれば自分にも歩合給と言うかたちで還元されるというものでした。
大きな営業会社であれば、このアポインターの期間が長く、ここで挫折してしまう人も多いのでしょうが、自分の会社の場合は人数も少なかったので、すぐにクローザーの仕事も任せてもらえ、自分でアポを取りながら商談をして契約をもらう一通りの仕事を任せてもらえました。
白蟻消毒の営業は高歩合
飛び込み営業は特にモチベーションが全てです。
やる気がなければ契約も取れないですしサボったりするので、基本的に歩合給という形で還元されます。
特に白蟻消毒に関しては原価率も非常によく、単純にいえば儲かります。
僕のいた会社はそれを社員に還元してくれていたので契約を取れば取るほど給料が増えていきました。
研修期間中は歩合など付きませんが、3カ月が過ぎて初めてもらった歩合給込みの給料は50万でした。当時22歳です。
これを高いと思うかは人それぞれですが、少なくとも当時の僕の周りの同年代で月に50万稼げる人は少なく、僕は舞い上がりました。最高月収では80万ほどもらいました。
営業としての難しさ
『営業』といっても様々な種類があります。
決められた顧客だけを周るルート営業や、個人宅ではなく会社を周る法人営業など、それぞれの職種によってやり方や難易度も違ってくると思います。
ただ、白蟻消毒の営業で契約を取る事はかなり難易度が高い部類に入ります。
例えば白蟻の被害に困っていて会社に問い合わせが来た場合は簡単です。
訪問して見積もり作ってそれを提示してちょこっと営業トークすれば簡単に契約になります。
しかしそれだけでは稼げませんので、それ以外の時間はひたすら訪問します。
まったく白蟻消毒の事など考えていない人を、玄関先まで引っ張り出して、色々な世間話から白蟻の話にもっていき、時には100万ほどの契約をその場でします。
要はニーズゼロの状態からはじまるわけです。
これが訪問販売の難しい所で、全く買う気がない人の気持ちを動かさなければならないので、相当なトークや根気が必要になります。
それから白蟻消毒という特性上、床下での工事になるので仕上がりが見えません。
例えばリフォームであればクロスを張り替えたら綺麗になりますし、キッチンを変えたら気持ち良くもなるでしょう。
しかし白蟻消毒の場合はまったく目に入らない場所なので、工事をしても目に見えてなんの変化もないのです。
要は物ではなくサービスを売っているので、これも売るのが難しい要因になります。
変化球の営業方法
昔はまだネットなどもなく悪徳業者の情報なども少なかったでしょうから、『無料で床下点検します!』の言葉で契約に至るケースも多かったでしょう。
しかし今の時代にそれはかなり難しいです。
1日に500〜1000件ほど訪問すれば、1人くらいは『ちょうど白蟻が気になっていたんだよ!』という人も出てくるかもしれませんが、それでも訪問販売の会社でやるかは分かりません。効率はかなり悪いです。
ではどうしていたのかというと床下というワードは隠し、まず違う商品やサービスを買ってもらいます。
一時期流行ったのは床下の換気口に付ける網ですね。
『これを付けると害虫が入らなくなります!』と言って1カ所3000円位で取り付けてもらいます。換気口は1件の家に8カ所くらいあるので、合計2万円ほどになります。それ位ならいいかと思って工事をお願いすると、『取り付けてる途中で床下見たんですが結構湿気が強いですねー』というトークから換気扇の販売などに繋げていくというもの。
これは使い古された手口ですが、いまだにやっている会社もあります。
それから僕の会社でよくおこなっていたのは排水管洗浄。
これはお家の排水管の汚水桝を開けて、高圧洗浄機で排水管の中を洗っていくというもの。
1件あたり1万円位でおこなっていました。
この作業自体はもの凄く良いもので、普通の戸建てにお住まいならば5〜10年に一度くらいはやっといた方が良いです。(営業トークではなくマジで!)
そしてこの排水管洗浄からどうやって床下に繋げていくかというと
排水管の中を高圧で洗うので水漏れがおこってしまう心配があります。
↓
僕らの会社ではそういったトラブルを防ぐ為に作業後に床下に入って水漏れ点検もします!
↓
そこまでやってこの金額です!
こう言う事によってお客さんはものすごーく感謝します。
不思議なもので同じ無料での床下点検ですが、真正面から床下点検というのと作業のついでに点検もしますというのとで、こんなにも反応が違うのかと思いました。
そして、大体1〜2時間くらいかけて排水管洗浄をおこなってピカピカになった排水管を見せてあげるとお客さんは非常に喜びます。
それから水漏れ点検と称して床下に潜り、『水漏れは大丈夫でした!でもちょっと気になったんですけど、最近白蟻消毒とかってしました?』
と聞くと、びっくりする位こちらの話を聞いてくれます。
このようなかたちで、単純に白蟻消毒の話だけでなく色々な違う商品(フック商品と言ってました)を織り交ぜながら最終的に床下の契約にもっていく訳です。
白蟻消毒の保証の罠
白蟻消毒を行うと住宅に保証が付きます。
消毒したにも関わらず白蟻が出てしまったら意味がないので、5年間のあいだは白蟻が出ても無料で消毒をしますよというものです。
お客様は床下を自分で見たりはしないので、代わりに1年に1回定期点検というかたちで訪問し、代わりに床下の点検をおこなってあげます。
大体の白蟻業者でやっているこの定期点検ですが、これも大事な商談のチャンスです。
床下で扱っている商品は白蟻消毒だけではなく、有名な所だと換気扇や防湿マットなどがあります。
これを定期点検で訪問した際についでに売っていきます。
『去年はあんまり湿気がなかったですが、今見てみたら結構湿気がありますね。ひどくなる前に換気扇を付けときましょう!』
といった具合で、違う商品を次々と毎年提案していくわけです。
ただ、営業マンもバカではないので、さすがに去年断られた人などに対しては無理な商談などはおこなわず、5年後に再度消毒をしてもらえるように世間話だけでやめる人もいます。
よく言われる事
白蟻消毒の営業をしているとよくいわれるのが、白蟻を持っていって床下に撒いたりしてるんでしょ?という質問w
昔はそういう人もいたかもしれませんが、今だにそんな事をやっている人はまずいません。
それから白蟻の被害も無いのに白蟻がいるって言ったりするんでしょ?とかも聞かれますが、これも同様にそんな事は絶対にしません。
単純にリスクが大きすぎるから。
そんな事をしているのがバレたら、今の時代一発で廃業です。
それにそんな事をしなくても、契約は取れます。
入ったばかりの頃に上司に言われましたが、『いかに真っ白なものをグレーに見せるか』も営業のテクニックの一つだと教えられました。
『今は白蟻の被害はありませんが、来年は分かりません』
『このまま湿気が強い状況を放っておいたら床が抜けてしまうかもしれませんよ?』
このようなトークを床下の写真を見せながら臨場感たっぷりに話します。
今の状況は真実しか伝えられませんが、未来の話はいくらでも想像で話せます。
モチベーションの低下
営業という仕事は入れ替わりが激しいです。
売れない人はどんどん辞めていき、代わりにやる気のある新しい人をどんどん採用していきます。
僕の場合は約4年ほどそこそこの成績でやっていました。
しかし、何かきっかけがあった訳ではないのですが突然、『このままこの仕事をやっていて何が身に付くのだろう』と思ってしまいました。
今建てられている住宅というのは昔に比べて白蟻が侵入しづらくなっています。
確実にこの業界は先細っていくのだろうなと感じていました。
そうなってからは負の連鎖で、今の自分の仕事に自信が持てなくなり、だんだんと罪悪感が芽生えてきました。
訪問販売をしていてもどこか罪悪感をもったままインターホンを押します。するとそれはお客様にも絶対に伝わるので次第に売れなくなっていきます。
売れなくなってくると仕事のせいにして、また仕事が嫌いになるの悪循環です。
この時には入ったばかりの新人にも売り上げで抜かれたりなど、すっかりと自信を失っていきました。
ただ、営業という仕事は好きでした。
自分には営業という仕事が向いている思ってましたし、実際に白蟻の被害にあっているお宅の消毒をして喜んでもらえるのはやりがいもありました。
また、住宅に関する知識もある程度はついていたので、今のリフォームの営業という仕事に結びついたのも必然かなと思います。
今のリフォームの営業では飛び込みなどは一切おこなっていません。
リフォームをしたいというお客様の家に伺って見積もりを取るのが一連の流れですので、煙たがられる事はありませんし、しっかりと工事をすれば喜んでもらえます。
白蟻消毒の営業と比べて違いもあり、最初は戸惑いましたが総合的にみればかなり楽になったと感じます。
向いている人
これから白蟻消毒に限らず、訪問販売の仕事をする事になった人(なってしまった人)に伝えたいのは、訪問販売である程度売り上げが上げられるようになればどんな営業の世界でも通用するという事です。
全く買う気のなかったお客さんに、あの手この手でニーズを植え付けていき、契約をする。
これ以上営業としてのスキルを学べる場所はないです。
今はリフォームの営業として働いていますが、根本にあるのは白蟻消毒時代の営業方法です。
この時の経験があるから、今の営業が楽に感じますし絶対に周りの人には負けないという自信があります。
また、よく営業には向き不向きがあると言いますが、スタートラインが違うだけで、努力をすれば必ず報われます。
僕も新人の教育などをおこなっていて、『こいつは向いてないなー』と思う事もありましたが、大きな間違いでした。
営業として伸びる人は努力量がケタ凄いです。
また、監視の目がなくてもサボらずにしっかりとやり遂げます。僕はここができないw
ですので、向いていないの一言で片づけるのではなく、まずはやってみる事が大切です。
訪問販売の営業をやって得られるもの
売上に見合った給料がもらえる
訪問販売はモチベーションが全てです。ですので基本的に売り上げを上げるほど給料に反映されます。
同年代の倍以上の給料をもらう事も可能ですし、学歴なども全く関係ありません。
社歴が10年以上ある先輩社員に、入って3カ月の新人が給料で勝てる世界なんてなかなかありません。
時間を自分で管理できる
車にGPSなどを付けられたりすれば厳しいでしょうが、それがない会社では1日の時間をどう使おうと自分の勝手です。
最終的に月末に売上さえ確保できていればどこで何をしていようが全く問い詰められません。
ただ、だからといってサボってばかりいるのではなく、その空いた時間に営業の勉強をしたり、違う分野の勉強をしたりなど出来る人が最終的には上にあがっていきます。
コミュ力が上がる
これはよく言われる事ですが、毎日初対面の人に営業をしていく訳なので、必然的にトーク力は磨かれます。
しかし、本当の意味でのコミュ力というのは鍛えられない気がします。
所詮、仕事でお金の為としてやっている事なので、仕事が終わってしまえばOFFモードになり、人が入れ替わったかのように喋らなくなる人もいます。
お金を実際に動かせる
これが一番伝えたいのですが、営業として会社の最前線で仕事をしているとお金の流れが見えます。
まずは営業が仕事を取って、工事部の人間に仕事を回す。工事が完了したら事務員が請求書を送ってお客さんがお金を振り込む。そのお金が各社員に給料として払われる。
全ての仕事の始まりは営業が仕事を取ってくる所からです。
自分が仕事を取ってこなければ、工事部も毎日暇だし、事務員も暇だし、偉そうにしている上司にもお金が払えなくなります。
だからといって偉そうにするのは絶対NGで、工事部や事務員に嫌われた営業は絶対に売れなくなります。
ただ、心の奥底では俺が会社を成り立たせているんだという気持ちを持っておけばやる気もあがります。
起業する人も営業を経験している方が多いですが、自然とこうしたらもっと儲かるんじゃないか等を考えるようになるので、働いていながら色々なアイデアが沸いてきます。
それを行動に移すかはともかく、どういう仕組みで会社というものが動いているのかが分かりますので、とても勉強になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ここまで淡々と白蟻消毒の営業時代のお話をさせて頂きました。
これから同じような仕事をされる方の参考になれば幸いですし、白蟻消毒をした事がある方は身に覚えのあるトーク内容もあったのでは?w
ちなみに訪問販売の営業をしていた人は、逆に訪問販売の営業に引っかかりやすいそうです。
きっと辛さを分かっているから話をまともに聞いてしまうんでしょうねw
僕も今後気を付けていきたいと思います。
では、また。
hayashi
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